干ぼし煉瓦造りにチャレンジ!
パーマカルチャーから考えるサステナブルなまちづくり
2015年8月31日(日)山梨県富士吉田市の「ふじさん牧場」で、第1回ふじよしだ未来キャンプを開催しました。
地域住民が主体となってまちづくりを実施するのに重要なことは、「地域の魅力を彼ら自身が知っている」こと、そしてそれを「未来を担う子どもたちに伝えられること」です。
そこでリバースプロジェクトは農業や環境、食事、まちづくりなどの専門家をお招きし、「子供の未来のために大人が遊ぶ」をテーマに、一緒に体を動かしながら今とこれからの暮らしづくりについて学び合い、これからのまちづくりへの市民の参画を促すプロジェクト「ふじよしだ未来キャンプ」に企画監修として関わらせていただいています。
記念すべき第1回目は、ソイルデザイン代表のパーマカルチャーデザイナー、四井真治氏を講師としてお招きし、日干しレンガとそれを使ったかまど作りを実施しました。
パーマカルチャーとは、その土地の持つ風土や文化に沿って、人を含めた生態系を考え、暮らしを設計し持続可能な環境を作り出すデザイン形態のことをさします。
そういった個人のサステナブルな暮らしの設計を、まちづくりに拡張して考えることで、パーマカルチャーから今後のまちづくりの基本的な考え方、その姿勢が伝わるのではないか。
そう考え、『パーマカルチャー』を通じてまちづくりを考えてもらうことを、本企画のファーストステップと位置づけました。
まずは日干し煉瓦で使う土を準備します。
強度を上げるため、土のつなぎの役割をするのはなんと麻紐。
手からひじに20回ほど巻きつけて、それをぐるぐるとまとめます。
できた束を今度はなたとまな板で細かく切ります。
これはなかなか根気のいる作業で、参加者の皆さんも代わる代わる協力しながら実施します。
細かくなったらバケツにいれ、ミキサーでさらに細かくし、ふわふわの状態にします。
つなぎの準備ができたら、つぎはいよいよ土をこねていきます。
ビニールシートを広げ、赤土、砂、石灰、先ほど作ったつなぎを混ぜ合わせます。今回の赤土は古民家をリノベーションしたときにでた、壁の土を使用。
使う材料はすべて自然に還る物を使っています。
混ぜ合わせる作業は力仕事。
大人数人がかりで土を混ぜていきます。
水を何回かに分けて加えていくので、だんだん重くなっていきます。
さらに足で踏み、耳たぶくらいの硬さになるまでこねていきます。
まとまってきたら、土の準備は完成。
最後はいよいよ型に入れて、レンガを作っていきます。
上手に作るコツは、あふれるくらいの土をまとめて1回で入れること。何回かに分けて入れてしまうとひび割れの原因になってしまいます。
また、型を常に水で濡らしておくと、すとんと型から抜けてくれます。
はじめは慣れない手つきで苦戦しながらも、繰り返すことでどんどん上手くなっていく参加者たち。
だんだんと形になる様を体験し、自信がついてきたようです。
型抜きしたレンガは2~3週間ほど乾かして完成。
乾燥には時間がかかるため、かまど作りは事前に用意した日干しレンガを使います。
土台として並べた赤レンガの上に、かまどを作っていきます。
先ほど日干しレンガ作りに使った土を接着剤代わりに使ってレンガを積んでいきます。
積んでいる姿は職人そのもの。皆さんとても立派なかまど職人です。
日干し煉瓦のいいところは、形を削って調節できるところ。カーブや接地面に合わせて、使うことができます。
余談ですが、モロッコでは日干しレンガで家が建てられています。それだけではなくマリではこれで高層ビルまでもが建てられているのだとか。
それくらい日干し煉瓦は頑丈な資源なのです。
最後にきれいに土を塗って表面を整え、本日の作業は終了です!
出来上がったかまどは2~3時間すると土が乾燥してきてひびが入ってきてしまいます。対処法としてかまぼこの板のような木片でぺちぺち愛情を込めて叩くことによってきれいになります。
作業終了後かまどと一緒にみんなで記念撮影。
立派なかまどが完成しました。
体を使った後はBBQ!地域の食材をおいしくいただきました。
食材ラインナップはこちら。
・富士桜ポーク
・ワインの搾りかすで育ったラム
・七輪で焼くマス
・ふじさん牧場で取れたとうもろこし
・富士吉田の野菜(ピーマン、たまねぎ、なす、ししとうがらし、キャベツ)
・ラムのソーセージ 2種
この中では特にラム肉とトウモロコシが大好評。
地域の食材を改めて堪能します。
お腹がいっぱいになったところで、最後は今回の講師である四井氏のお話を伺います。
長年パーマカルチャーに携わる経験から、日本がもともと高度な循環型社会のシステムを文化レベルで保持していたことや、それらの知恵を、今後どの様に地域で活用し、自然や生態系とどのように付き合っていくのかを講演。午前中土を使ってレンガやかまどを作り、体を動かしながら自然と触れ合っていたことから、参加者のみなさんも興味津々です。
自分たちの行動が、自然や暮らしにつながっていること。そしてそれは社会的に見れば、まちづくりへと繋がっていることを強く説きました。
大人も子供も幸せな町とはどんな町だろうか?
20年後の富士吉田はどうなっていてほしいのか。
第一回のWSは、富士吉田の未来を考えるきっかけになったはずです。
そこで生まれた好奇心をみらいキャンプは今後も育み、市民主体のまちづくりをファシリテーションしていきます。
■実施ワークショップ