富山県南砺市が誇る伝統工芸
五箇山和紙×REBIRTH PROJECTによる新たな取り組み
加賀金沢の文化圏として、あるいは金沢文化を支える職人町として数多くの伝統工芸文化を守り続ける南砺市。そこには、浄土真宗と深く結びついた「土徳」と云われる土着の価値観があり、伝統工芸を「民芸」という形に昇華した歴史がありました。
我々REBIRTH PROJECTは、この南砺市に根付く伝統工芸に着目。
合理的な生産工程、作業時間を安直に時給換算しなければならない今日の資本主義社会と、「少しでも良いもの作りたい」という職人の方々が等しく持つ姿勢、気質は相容れないものなのかも知れません。
しかし、REBIRTH PROJECTの考える地域の未来は、現代において成立することさえ困難になったこの姿勢、気質や、その先に確かにある豊かさ、幸福感によってこそ実現されるのではないでしょうか。いつも楽しそうに話し、手を動かされる職人の方々を見ていてそう思いました。そんな職人の手仕事や伝統工芸を、未来に残したい。
縮小していく伝統工芸を、まちの資産へと変えていきたい。
そんな想いから、REBIRTH PROJECTと伝統工芸の共同商品開発を考えました。
本プロジェクトを進めるにあたり、まず工芸職人の方々、南砺市職員の方々と、「今日において、南砺市が発信すべき伝統工芸文化とは何か?」このことについてじっくり時間をかけて話し合いました。
現地の工房や、公民館で行われた話し合いでは、職人の育成、技術の賃金換算の困難さ、さらには日本各地に残る伝統工芸のこれからの在り方にまで話は及び、多くに時間を費やし意識共有することができました。
我々が最初に取り組んだのは、世界遺産にも認定された小さな村、合掌造り集落のある五箇山で長い歴史を持つ”和紙”を使った商品開発です。
伝統的な紙すき技法を守り続けてきた五箇山では、和紙の原料である楮(こうぞ)という木を自分たちで育てています。
良い原料が無ければ、良い紙はつくれない。
このあたりまえの原則に徹底してこだわり、化学染料を一切使わずに出来上がった和紙は、数百年耐久性を持ち、桂離宮や名古屋城などの文化財の修復にも使われています。
こんな素晴らしい技術を持つ五箇山ですが、一時は1500軒ほどもあった紙すき業者は現在では3軒まで縮小し、後継者不足に悩まされています。
こういった背景から、REBIRTH PROJECTは若者に和紙の素晴らしさを伝えたいと考え、商品開発に挑みます。
デザインを務めたのは、REBIRTH PROJECTのデザイナー、加藤弥生です。
女性らしい視点から、これまでに無い和紙の活用法を考えました 。
ひとつは、東中江和紙加工生産組合の組合長、宮本友信さんの「悠久紙」を使った和紙ハットです。
日を浴びるほどに白くなっていく悠久紙の特徴を活かせる商品はなんだろう、という問いから生まれた商品です。
もうひとつは、「五箇山和紙の里」の石本 泉さんと共同製作したエッセンシャルオイル和紙。
南砺市に根付く土徳の文化、そこには祈りの時間の需要性が説かれています。自分の心と向き合う時間と空間を持たなければ、人はつかれてしまうのだそうです。
現代に生きる女性が、つかれをとる時間と空間、それをバスタイムと考え生まれた商品です。
花びらをモチーフにした和紙は、障子紙を作る際に切り落とされる和紙で作った再生和紙でできており、女性うけのいいカラーリングがされています。
気分を入れ替えたい時に、ティーツリーのエッセンシャルオイルを垂らしてお風呂に浮かべたり、枕元にクローゼットにも使えます。
バスタイムで使えるのは、耐久性に優れた和紙ならではの楽しみ方です。
最後にREBIRTH PROJECTが手掛けた和紙のプロダクトは、和紙粘土で作った柔らかな風合いが特徴の招き猫です。
デコ携帯ならぬデコキャットとしてアレンジしても、無地のまま飾っていただいても。
作品を仕上げるプロセスを消費者にお任せしています。
今回、REBIRTH PROJECTが取り組んだ商品群は、伝統工芸として伝えなければならない技術、モノとしてのクオリティと、市場需要とのバランスを何度も検討した結果生まれました。
今後は各商品の市場反応に注視しながら、それぞれのバランスを調整し続け、商品としての価値を進化させていきたいと考えています。
そしていつの日か若者がこの伝統を受け継ぎたいと思える時まで、REBIRTH PROJECTの挑戦はつづきます。
■ information
ECサイト http://rebirthproject-store.jp/
コロカル記事 colocal.jp/category/topics/rebirth-project/nanto
五箇山和紙の里 gokayama-washinosato.com
■member
プロジェクトディレクター:村松一
五箇山和紙デザイナー:加藤弥生