富山県南砺市が誇る伝統工芸
井波彫刻×REBIRTH PROJECTによる新たな取り組み

南砺市に根付く伝統工芸に着目し、「職人の手仕事や伝統工芸を、未来に残したい」「縮小していく伝統工芸を、まちの資産へと変えていきたい」といった想いから始まったREBIRTH PROJECTと南砺市の伝統工芸開発プロジェクト。

 

その2つ目の取組みが、600年以上の歴史をもち、昭和以降お寺や仏間の彫刻、そして日本家屋の欄間を支え続けてきた「井波彫刻」の伝統技術を駆使した商品開発です。

200種類もの”のみ”を用途によって巧みに使い分け、様々な表情を表現していくその様は、長い年月をかけて培われてきた歴史が伺えます。

 

 

まずはその歴史を簡単に振り返ってみると、富山県南砺市の井波彫刻の起源は、真宗大谷派 井波別院 瑞泉寺にあります。
瑞泉寺は一向一揆の中心的存在であった寺院で、過去に3回も火災にあっていますが、そのたびに再建されてきました。
2回目の火災の後、当時の加賀藩は、京都の本願寺から本山お抱えであった御用彫刻師の前川三四郎など、10名の宮大工を呼び寄せて再建にあたります。
そうして彼らの指導のもとに再建を進めていった地元・井波の大工たちが井波彫刻の礎となっていきました。


その後、井波の大工である番匠屋九代 田村七左衛門が、名作といわれる勅使門の「獅子の子落とし」を生み出すなど、京都から伝わった伝統的な寺院建築・彫刻の優れた技術を井波の大工たちが磨き上げ、現在にまでつながる井波彫刻となっていったのです。
このように長い歴史と高い技術を持った伝統工芸。それを極めようと今でも200人ほどの彫刻師が井波のまちには存在しています。


しかし、井波彫刻、特にその技術の見せ所として発展した欄間彫刻自体は、高度経済成長意向核家族化が進むにつれて、日本家屋の減少と共にその需要が減ってきています。

そうした状況で、井波彫刻の技術を活かした商品づくりをすることで、新たな需要を生み出そうというのがREBIRTH PROJECTの狙いです。

 

商品化するにあたって、そのデザインを務めたのがREBIRTH PROJECTデザイナーの平社直樹です。

 

『ひば』と『くるみ』の2種類の素材を使ってつくったのは、日本の食卓で活躍するプレートです。

 

木彫の木肌をそのまま残して上にアクリル板を載せたプレートは、食材をまるで彫刻の上に浮いているように見せ、食卓を目でも楽しませてくれます。

ものづくりの質は落とさずに、井波のブランドを広げていくために、今まで井波彫刻に触れたことがない人にも魅力をどうやったら伝えられるのか、といった事を念頭に平社直樹がデザインをしました。
人生をかけた職人たちの手仕事に、皆さんも是非触れてみてください。



■ information
コロカル記事 colocal.jp/category/topics/rebirth-project/nanto

 

■member
プロジェクトディレクター:村松一
デザイナー:平社直樹